2017年3月11日土曜日

メデジンより(図書館編)


『雨あがりのメデジン』に出てくるメトロカブレ
いつか行きたいと思っていたコロンビアのメデジンにとうとう行ってきました。
 メデジンに行くならぜひ「文学工房ジョルディ・シエラ・イ・ファブラ財団」のフアン・パブロを訪ねてみるようにと人にも勧められました。同財団は、2012年にIBBY朝日国際児童図書普及賞を受賞している団体です。IBBY世界大会での授賞式には私も立ち会っていたので、彼らのその後の活動も知りたく連絡をとりました。
 すると、3日間、自分たちが見るべきところを案内する、ついては図書館で翻訳について話さないかと提案され、EPM図書館でトークをすることになったのです。
財団事務所でIBBY朝日賞の賞状の横でスタッフのみなさんと。左端がフアン・パブロ。
『雨あがりのメデジン』に登場するのは、正確には図書館ではなく図書館公園でした。図書館公園とは、図書館と公民館が合体したような複合施設で、いわゆる公共図書館よりも大規模な施設を指すとのこと。図書館だけではなかなか人が集まらないので、ホール、展示室、集会室などでさまざまな活動を行い、地域の核にしていこうということのようです。市内には、9箇所(たぶん)の図書館公園があり、下の写真のベレン図書館公園は、東京大学の援助を受けて内藤廣氏が設計したそうで、日本の部屋もありました。
 児童室にいた司書さんは、Taller de letras財団の人たちが講師を務める大学の司書課程を出た女性。親子や子ども向けに熱心に活動しているようすを説明してくれました。
ベレン図書館公園入り口
ベレン図書館公園児童室
児童室にお母さんと来ていた男の子!

「児童文学翻訳の技」というトークの会場になったEPM図書館は、市庁舎前のルス広場の前にある逆ピラミッド型の建物。知識がだんだんと広がることを象徴的に表しているとのこと。メデジンの日本人コミュニティーでも情報がまわったようで、トークには大勢の参加があり、ありがたいことでした。
EPM図書館外観

 楽しみだったエスパーニャ図書館公園は、悲しいことに現在閉鎖中でした。急勾配の斜面に建てられた隕石のような建物ですが、地盤が弱って崩壊の危険があると、2015年の夏に閉鎖され、現在解体工事中。もう一度建てる予定ではあるそうです。
解体中のエスパーニャ図書館公園
  でも、この地域での図書館活動は、「バリオに公園をparque al barrio」として続いていました。午前から午後まで毎週決まった場所に80冊くらいの本を持っていって開く移動図書館や、おじいさん、おばあさんのお話のプロジェクトなど、これまで以上に活発な活動を図書館員11名が続けていると、下の写真のマリアンMarianさんが説明してくれました。『雨あがりのメデジン』の図書館員のモデルかしらと思ってしまいました。
エスパーニャ図書館公園の図書館員マリアンさんと

「バリオに公園をParque al barrio」については、こちらのビデオも合わせてどうぞ(スペイン語)。